松下幸之助と稲盛和夫のビジネス書は、要注意図書にしてほしい(笑)

・経営の神様

経営の神様として讃えられる松下幸之助稲盛和夫。彼らのビジネス戦略や哲学は、多くの経営者にとって金字塔のようです。しかし、その教えがいつも全ての企業に適合するわけではないのが現実です。本稿では、これら二人の経営者が残した「神話」の適切な取り扱いについて、考えたいと思います。

 

・古本屋¥80コーナー

古本屋の¥80コーナーのコスパはハンバではない。
著者と編集者が命がけで作り上げて、厳しい市場で販売された作品が、500mlのペットボトル飲料の半分で手に入ってしまう。古本屋が地域の図書館化しているというのもよくわかる。
おかげでビジネス書も安価に大量に読むことができる。各方面のスケールは様々だが成功者といわれる人々の経験を、学び疑似体験したような気になることもある。
おかげで、「客観的に」ビジネスを評価することは、とても簡単であるような気もする。そして、わが社をはじめとする経営者が安直に語る経営論は辟易とすることがある。

 

・「ダム経営」て・・・。

まず、松下幸之助の伝説的な「ダム経営」論。あるセミナーで、参加者が松下に「どのようにすればダム経営ができるのか」と質問しました。彼の答えは「できると思うことだ」。この回答には場内から失笑が漏れたものの、稲盛和夫は深く感銘を受けたとされてる。しかし、これが実際の経営現場でどのように機能するのかは疑問です。単なる信念だけでは、具体的な戦略や計画が伴わなければ、それは空中楼閣に終わりかねないでしょう。

次に稲盛和夫の「宇宙の真理」や「神が手を差し伸べてくれるまで頑張れ」といった発言。これらは確かに励ましになるかもしれませんが、これを文字通りに受け取り、経営に応用するのは非常に危険です。神話的な物語や感覚に基づいた指導は、具体性を欠いた場合、社員を混乱させることになります。神の啓示をうけた預言者の言動にすら思えます。

彼らのような経営の「神様」が簡単に空を飛べるのに対し、普通の人間が同じことを試みたら崖から落ちてしまうかもしれません。二人の経営論は、それを理解し、適切に解釈できる知識と経験が必要です。だからこそ、マネージメント層がこれらのビジネス書を手にする場合、富士山の麓で1年間のビジネス基礎講習を義務づけてもよいのではと。。。

ちなみにわが社は一時の好景気と補助金に乗せられて拡張した生産設備のせいで、在庫があふれかえり、まさに決壊間近。キャンペーンでも製品を販売・出荷しろ!と。まさにダム経営である。

 

・ビジネスマンは多読しよう。

最後に、これらのビジネス書を「要注意図書」として分類する提案は、半分は冗談ですが、もう半分は真実です。経営の神話に振り回されず、自分たちの会社に最適な方法を見極めるためには、批判的思考が不可欠です。経営者は、偉大な先達の教えを学ぶ一方で、その適用には慎重であるべきであってほしいものです。