三行で撃つ を読んで

三行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾 近藤康太郎著 

を読みました。

最近は現代史の読み方や現代文読解の本を読むことにしていますが、本書は心に残る一冊になりました。タイトルって大事ですね。
「三行で撃つ」に惹かれてまさにジャケ買いでした。

文章が上手に書ける系の本は面白い分野だと思います。

ルールやテクニックを理解すると、スポーツでも見方が全然変わって観る熱量が変わります。チームや選手たちの時系列的な背景を知りたくなって、さらに沼にはまっていきます。
どんなことでもそうですが、ちょっと勉強しただけで上手にはなりません。
文章でも同じです。
でも、観る・読む感覚を鋭くすることはできます。そしてそこから得られるものも多くなります。

ただ、本書はサブタイトルの<善く、生きる>ことについて、文章を書くことを通して感覚を研ぎ澄まされる内容だったと感じました。

 

印象に残った3か所

「人間を、甘く見るな、ということだ。」

ビジネスの場やSNSでも、不快と感じる要因の9割はコレだ、、、。

上から目線→あなたの立場は下。
教えてあげてる目線→あなたはものを知らない。
定まらないテーマ→自己満足。
無駄な長文→あなたは暇でしょ。

そういうつもりではない、とかはどうでもよくて、結局「人間を、甘く見ている」ことに要因があるのだろうと。
そういう人は書き方とかではなく、善く生きることに気づかなければならないですね。

 

「ストライクゾーンを広げろ」

これは相手方の注文や意図、つまり「ストライク」と判断させる範囲を自分のテクニックで広げ、自分の投げたい球を投げなさい、ということです。

ダメ出しをされたら意地を張って抗議したり、自らの意図に沿わない内容に改変しなくても、やりかたはあるわけです。
聞いたふりをして目をそらせる一文を付け加えたり、伝えたい意図は変えずに、相手の注文に執着するより、自らの中で表現を変える努力をすることが大切だと。

自分が一番苦手な箇所です。
自らに思考を沈めて投げる。これ頑張ります。

 

「なぜおもしろことを見つけなければならないのか。
それは、世界がおもしろくないからだ。
世界は愚劣で、人生は生きるに値しない。」

この個所は感性を鍛えることの重要性を説明する、著者の世界のとらえ方です。

だから、善く、生きろ。と。
文章を書くことを通して、いい人にならなければならない。と著者は書きます。

主体的、客観的に幸せに生きることは難しく、その方法を探すことに明け暮れてしましまいます。でも、文章を書くときに、僕たちは現象に対して何かを伝えるのですが、そのとらえ方を変えることで世界が、主体的にも客観的にも変化する。

これって、文章を書くことの再発見でした。

 

著者の背景もユニークです。
引用する文章がまた素晴らしく、読書欲をそそります。

何週も読みかえしたい、そんな本でした。